”これは経費で落ちません”原作を読む ⑧!バレンタインデー ついに沙名子が太陽の部屋へ!

何で俺なんだ!・・・
いきなり会社近くのファミレスにやってきて、終わるまで待っているという樹菜からのLINE。呪いながらも優しい太陽は、そのままにはできず、ファミレスで樹菜の話を聞いていたら、スマホが鳴った。

沙名子からだったので太陽はびっくり!今まで沙名子から電話をかけてくるなんて一度もなかったからだ!あわててスマホを手に持ち出入り口に急いだ。

「沙名子さん、何かあった?!」
「ううん。今、実家からこっちに戻って来たの。もう、仕事終わったかと思ってかけてみた」
「俺、今外なんだ。すぐに帰ればよかったなあ」
「特に用事があるわけじゃないの。ちょっと声を聞きたかっただけ。切るね」

”ちょっと声を聞きたかっただけ” だって! 嬉しさに太陽は舞い上がったが、既に電話は切れていた。

一方、電話を切った沙名子は、しばらく部屋の中で立ち尽くしてしまう。
あれはどこかのカフェかな、それともファミレスだったのかな・・・
聞くつもりなんてなかったけれど聞こえてしまった。ガラス?の自動ドアが開く音と「いらっしゃいませ」と言うウエートレスの声が・・・

仕事を終えてから、こんな時間にファミレスで食事?・・・しかも太陽はかなり慌てていたようだし。いつでも電話してとか言っていたが、まさか本当に沙名子がかけてくるとは思っていなかったのだろう。”まっ、良いか” 沙名子は気を取り直しお風呂に入る準備を始めた。

お風呂に入る前に鏡をみたら、早退時に比べると、湿疹はずいぶん小さくなって赤みも引いた。週末までには治って欲しいと思う。沙名子は太陽と会うときに、最近買ったビジュー付きのニットを着て行くつもりでいるからだ。胸元が大きく空いているので肌が奇麗でないと困るから。

青木祐子さんの「これは経費で落ちません」。
原作は「1巻」~「6巻」。1巻あたり4話で構成されていますが、5巻だけが5話まであり合計25話。

ドラマとは別物・・・原作に沿う感じで、沙名子と太陽の恋に特化して追いかけてる。

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太陽がファミレスで会ってたのは?希梨香に声をかけた女の子らしい!

早退した翌日沙名子が出勤すると、佐々木真由が大丈夫ですかと声をかけてきた。
「ただの湿疹だって。原因はよくわからないみたい」

バレンタインの話から義理チョコの話が出た時、佐々木真由が言った。

「わたし太陽さんに、営業部員にチョコレート配ってくれないかなって言われました」
「山田さんが、何で?」
「営業部員は、あちこちから義理チョコを貰うみたいですけど、中にはもらえない人もいるらしいんですよ。もらえないって鎌本さんじゃないかな。太陽さんは鎌本さんと気まずくなるみたいなんですよ。太陽さんは、外に追っかけがいるみたいだから」

そして佐々木真由は、急にはっとした顔になった。
「あっ、森若さんに話そうと思って忘れてた!昨日の夕方、希梨香が会社から出たら女の子が声をかけてきたんだって。営業部の山田さんてまだ中にいますかって。呼びましょうかと言うと、自分で連絡しますと言われたって。凄く女っぽい子だって。思いつめたような顔をしてたみたい」

「恋人じゃないの?」朝吹美華の言葉に佐々木真由は首を振る。
「違うと思います。だって彼女なら、まだいるかどうかなんて聞かないでしょう。希梨香も言ってました、あの子は違うみたいだっ・・・て。太陽さんの好みじゃないらしいんです。太陽さんて、無駄にモテそうじゃないですか」

ふうん・・・山田さんて まだ中にいますか・・・か。会社から出て来た見ず知らずの女子社員に聞くなんて、広まってくれることを願って言ってるみたいだ・・・と沙名子は思う。そう言えば昨日の夜太陽は、電話口でかなり慌てていたっけ。

昨夜太陽に電話した時、聞きたくはなかったが聞こえてしまった・・・出入口が開く音と「いらっしゃいませ」と言うウエートレスの声。あの時太陽は、希梨香に声をかけてきた女の子と会ってたのだろうか。

しかし沙名子は、昨年のクリスマスにアクアラインの駐車場で、「太陽くん?」と声をかけてきた女の子だなんて知らない。ただ、確かに太陽は無駄にモテそうだと思っていた。

沙名子に会える土曜日 樹菜からLINE!太陽は既読にしたのを心底後悔!

太陽は土曜日の午前中ドラックストアを廻っていた。今日の午後沙名子と会う約束をしている。仕事帰りには度々あってはいるが、休日に何処かへ行くのはクリスマス以来だ。

クリスマスにアクアラインに行った時、沙名子は奇麗なワンピースを着ていた。「俺、沙名子さんをずっと大事にしたいな」と言ったら、ほんのり頬を染めてありがとう・・・と。

そのあと手を繋いで歩いたりして凄く楽しかったし、距離も近かった。しかし、会社での態度は少しも変わらないし、メールも相変わらずそっけない。

だからじれったい思いもあるし、クリスマスは幻だったのかなんて思うほどだ。今夜もどこかへ行きたいのだけれど、沙名子の体調がすぐれないので、買い物と食事くらいかなと思う。

太陽はいつも思う。沙名子には嫉妬すると言う感情はないのだろうか・・・と。
もし仮に、太陽が別れようと言えば、わかった・・・と即答するかもしれない。
沙名子は無茶やわがままを言わないのだ。仕事のことは、理解され過ぎだと思うくらい理解されている。

俺は、それほど愛されていないのかな・・・
最初から比べれば、多少甘えてくる感じはあるけれど、太陽はちょっと寂しい気がする。たまには自撮り写真を送ってきたり、調子が悪ければ誰よりも先に連絡をくれるとかして欲しいのだ。

今日の午後、もしかしたら沙名子が太陽の部屋に来るかも知れない・・・と思う。だから今朝、久しぶりに掃除機をかけて、部屋を片付けてから買い物に出て来たのだ。

沙名子のことを考えながら3件目のドラックストアに入った時、スマホが鳴った。沙名子かと思って喜んだら、樹菜だったのでがっくり。

”ー太陽くん、樹菜だよ。駄目だった!もう、どうにかなってしまいそう。これから会えないかな?”
”樹菜は彼氏と上手くいかないらしいが、まじかよ” 太陽は頭を抱えたくなる。既読をつけたこと心底後悔する。そして後ろめたい。

そして2通目がきた。”太陽くんに彼女さんがいることはわかってる。そんなこと期待してない。だけど1人でいたくないの” 続いて3通目。”ごめんね、今のは嘘。あたしは元気だよ、忘れてね、バイバイ”

しばらく太陽はその場に立ち尽くしていたが、諦めて樹菜に返信した。そして沙名子にメール。
”沙名子さん、会うのを1時間遅らせてもいい?”
”わかった。2時半ね。楽しみにしています!”

相変わらず、沙名子は物分かりがいい。何か嫌味のひとつでも言ってくれよと思う。これから他の女のこと会うと言っても、わかったと答えそうな気がする。

ファミレスに鎌本を呼んだ太陽!樹菜を紹介すると即座に席を立った!

ファミレスの外で待っていた樹菜が駆け寄ってくる。
LINEの様子よりずっと元気だ。どうせこんなことだろうと思っていた太陽は、黙って店内に入った。

「ごめんね太陽くん、怒ってる?」
「怒ってないけど、何があったの」
席に着くなり太陽は聞いた。そこへウエイトレスが来たのでドリンクバーを注文。

「太陽くんから言われた通り聞いてみたの。浮気は本当だった。でも別れたくないって言うの」
「そんな男捨てるしかないだろう。樹菜なら、すぐに新しい彼氏見つかるよ」
うなづいた樹菜は、バックから、リボンのついた箱を取り出した。

「あのね、これ、太陽くんに。さっき買ったの」
「いや、いいよ」
「変な意味はないよ、ただのお礼。太陽くんがいたから、思い切って彼に言えたんだと思う。今日一日、つき合ってくれる?」
「俺、今日は1時までに帰らないと!本当に悪いんだけどさ」
「お願い!今日だけでいいの。今日はどうしても一人じゃいられない!」

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その時、きょろきょろしながら鎌本が入ってきた。「先輩!こっちです!」太陽はほっとして思わず声を上げた。樹菜と待ち合わせるファミレスを確認した太陽は、即座に鎌本に連絡をしたのだ。

鎌本はブランドものらしいパンツとニットを着ている。
「先輩すみません。急に呼び出したりして。先輩、彼女が樹菜ちゃん。凄くいい子ですよ」
「鎌本義和です。太陽の入社以来の仲間なので安心して下さい」
「あのさ樹菜、誰でもいいって言ったじゃん。鎌本さん独身だし信頼できる人だから。何でも悩み聞いてくれるよ」

樹菜は目を見開いて太陽を見つめている。何か言われる前にと思って、すぐ席をたつ。
「じゃあ俺、急ぐんで。樹菜、ほんとごめん。鎌本さんいきなりですけど、俺の友達をよろしく!」
「おう、任せとけ」今日ほど鎌本が頼もしく見えたことはない。太陽は、テーブルに置かれたチョコレートの箱を、袋に投げ込み急いで席を離れた。

太陽の部屋は沙名子のほぼ想像していた通り!

沙名子は午後2時半に、新宿で太陽と待ち合わせた。
新宿伊勢丹とサザンテラスをぶらぶら歩き、夕食を食べながら少し飲んだ。

映画を観ようかと言われたが、沙名子は昔から映画は一人で観たい人・・・なので断ったら、太陽が「じゃあ、俺の部屋に来る?」と聞いた。何だかわからないけど、確かめてみたいことがあるような気がした。

太陽は学生時代から、ずっと新宿に住んでいる。
沙名子は、男性の一人暮らしの部屋など想像もできなかった。もし、汚れ物が散乱していたり、趣味のコレクションが乱立していたらどうしよう・・・と考えてドキドキ。

しかし太陽の部屋は、沙名子が想像していた通りだった。
「出がけに掃除してたら時間がなくて、そのま出ちゃったんだよ」
玄関に立っていると、太陽は放り出してあった掃除機を、大急ぎで片付けている。

大学を卒業してこの方、誰も太陽の部屋に来ていないようだ。
「気を使わなくていいわ。別にちらかっていないし」
「それならいいけど、忙しい時とかって悲惨だから。あっ、コーヒー飲む?ビールもあるよ。紅茶も買ったんだけど・・・何処入れたかな」

沙名子は思った。太陽は今日沙名子が来ることを想定して、準備をしていたんだなと。太陽の部屋は古いマンションの2階にあった。大きな窓がある角部屋で広めの1Kだ。キッチンは玄関を入ったところにある。

食器置き場にはマグカップとラーメン用のどんぶりや鍋が伏せて置いてあった。流しの下側にかけたビニール袋に、空のペットボトルが入っている。何となく片付いているので安心した。

部屋の奥にはベッド。窓際に二人掛けのソファーとミニテーブル。棚付きのデスクの上にノートパソコンが置いてあり、ソファーの向かい側にはテレビがある。背の高い観葉植物と照明器具が、ベッドとソファーの間仕切りのような感じで置いてあった。

ひょっとしたら、インテリアに凝ろうとして失敗したのかも知れないような・・・感じがある。観葉植物は枯れていないけど手入れはしてないみたい。

太陽は沙名子を抱き寄せた!太陽の優しいキスは甘すぎて苦くて溶けそうだった!

沙名子の横に座った太陽は、紙袋からいろいろ取り出しテーブルの上に並べた。
「いっぱいあるだろ。営業の特権だね」
「有本マリナさんから貰った?」
「もらったよ。何か飾りがついているやつ」

どのチョコも大体の値段がわかるのは、マリナの領収書をチェックして、自分で見て回ったから。一番お洒落なのが曽根崎メリーさんで、マリナの物は有名な専門店のチョコ。

「沙名子さん、チョコ全部食べていいよ。高級なもの貰ってもよくわからないんだ」
「甘い物なら何でも好きだと思ってたわ」
「好きだけど、俺は沙名子さんのチョコだけでいいんだ」

テーブルの上に、ピンク色の包装紙に包まれた箱があった。
「それ、女友達から貰ったやつ。クリスマスにアクアラインであった樹菜って言うの、覚えてない?。昨日LINEがあって、相談したいって言うから会ったんだよ」
「ああ、そうなの」
「彼氏と別れて大変らしく、今日も呼び出しがあったから1時間遅くなった。その時もらった」

沙名子は心の中でつぶやく。
”わたしが早退した時に、いつでも電話しろって言ったのに、その子とファミレスで会ってたの?そして今日は、わたしの約束よりその子を優先したの?”

「俺は、沙名子さんとの約束があったし、鎌本さんを呼んで、よろしくって頼んできた。鎌本さん樹菜のこと気に入ってたから、丁度いいだろ」
「鎌本さんはいいと思うけど、その人はそれでよかったの?」

「そんなの知らねえよ!それとも沙名子さん、俺が樹菜と一緒の方が良かったのかよ」
太陽にしては珍しく、ふてくされたような言い方だった。
「それは、イヤ!」
「だよな?」

「太陽さん、紅茶もらってもいい?」
「いいよ、つくってくる」

太陽が席を立つと、樹菜のピンクの包装紙を丁寧に外す。外箱の上にカードが貼ってあった。『大好きな先輩、太陽くん、いつもありがとう。SNSやってます。フォローしてね。アカウントが2個かいてある』沙名子はカードを剥がし、自分のバックのポケットに入れた。

包装紙で元通りに包みテーブルの上に戻す。太陽が紅茶のマグカップを運んできて
「沙名子さんのチョコレートたべていいかな?」
「いいけど、美味しくないかも」
「そんなはずはない。俺は信じているぜ」

太陽は沙名子のつくったチョコレートをもって、沙名子の隣にすわった。太陽が沙名子の手づくりチョコを食べるのに夢中になっている間に、バックのポケットに入れたカードを握り潰した。火は小さい内に消しておくのに限る。

「美味しいよ!俺は沙名子が一番いい!」太陽の唇には少しココアがついている。”美味しいのはよかったけど、何でいきなり呼び捨てなんだ”と思っていたら、いきなり太陽に抱き寄せられた。

耳元で、太陽の低い声が「沙名子・・・」と呼んだ。太陽の唇が沙名子の頬にそっと触れてから、沙名子の唇に触れた。

沙名子は心の中でつぶやく。
”困るんだよな、そういうのは。ココアの粉がついてしまうではないか。何しろ初めてなんだから、前もって言ってくれないと・・・いろいろと予定が立たない。湿疹だって完全に消えてなくて、胸元がザラザラしているのに・・・”

しかし、太陽はどこまでも優しかった!優しすぎて苦いくらいだ。
甘すぎて 苦くて 甘くて、沙名子は溶けてしまいそうだった!

まとめ

桜の花が満開だ。沙名子と太陽は新宿御苑を歩いている。
太陽は遠くへ行きたがっていたが、人混みが好きではない沙名子が、都内の混んでいないところがいいと言ったから。

「沙名子とお花見ができるなんて、一年前は考えてもみなかったなあ」
太陽がしみじみした声で言った。それは沙名子も同感だと思う。沙名子は去年は一人で千鳥ヶ淵に行ったが、結構楽しかった。

太陽が持つ紙袋には、先ほどデパ地下で買ってきた凄く豪華なお弁当が入っている。どこかいい場所を見つけて食べる予定だ。

「太陽は去年、お花見しなかったの?」
「仕事でちょっとだけかな。一人だと喋ることもできないし、つまんないじゃん」
「わたしは1人がつまらないと思ったことはないわ」
「沙名子は、映画も一人で観るんだもんな」

太陽は自分のやり方を押し付けたりしない。
「ま、のんびり行きましょう。俺、沙名子と一緒にいるのが大好きだよ。合わせるのに慣れてきた」
「ごめんね。あまり合わせられなくて」
「相手が俺でラッキーだよね。会えてよかったよ」

何でそうなるのだとは思うが、太陽と話していると全てが良かったような気がしてしまう。
太陽は、楽しそうに遠くの桜を眺めながら「あの辺りがいいかなあ」とつぶやいている。

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