”これは経費で落ちません”原作を読む③ !森若沙名子と山田太陽3回目のデート!

青木祐子さんの「これは経費で落ちません」。
原作は「1巻」~「6巻」。1巻あたり4話で構成されていますが、5巻だけが5話まであり合計25話。

テレビドラマは、第10話で完結だそうですから、どこかを端折らなければなりません。
1時間ドラマなので、ゆったり進む森若沙名子と山田太陽の恋を描くのは、時間的に無理でしょうね。

ドラマとは別物・・・原作に沿った形で、森若沙名子と山田太陽の恋に特化して、今回は3記事目。

森若沙名子は、誰からも一目置かれる優秀な経理部員ですが、恋に関しては奥手と言うか・・・臆病。そんな沙名子に恋した山田太陽は、ようやく沙名子とデートの約束をするまでこぎつけた!

月曜日の退社後、6時45分に2駅先のドトールで待ち合わせ。森若沙名子は、いつもより気合を入れてカーラーを巻いてきたので、経理部の佐々木真由が「森若さん、髪巻いてます?」と声をかけたほど。
デートした2人の話・・・どうなったかは、もう少し待って下さいね。

そんなある日、経理部で佐々木真由が手にしていたのは女性向けの求人情報誌。
情報誌の中程にカラーページがあり、そこには森若沙名子のインタビュー記事が記載されていました。

森若沙名子もまた、同じ求人情報誌を見ていたのですが、沙名子の記事の名前がイニシャルになっていることを確認して、ほっとした様子。

実は、構成前のゲラ刷りをもらった時に、大きな記事で、実名と年令そして顔写真までバッチリと出ていたのです。取材時には、写真は使わないし、個人情報はぼかすと聞いていたのに・・・と、驚いた沙名子は求人誌の編集担当者に連絡を入れ、写真と年令を消して名前をイニシャルに直させていたのです。

森若沙名子の言葉として掲載されている記事の内容は、勝手に書き換えられていました。使っていない入浴剤を毎日使用してるとか、恋人募集中だなど・・・消したかったが、そこまで消すと伝達情報が伝わらなくなると考え我慢した。

その記事の内容がこちら。
天天コーポレーション経理部、SMさん。
安定した仕事ぶりで社員に慕われ、なくてはならない存在になっています。

「経理部はやりがいのある仕事です。残業が重なる時期もありますが、日々の仕事の工夫と部員とのチームワークで乗り切っています。
仕事をする上で重要視しているのは、体調と効率、そして人間関係を良好に保つことです。問題が起こったら、その日のうちに解決することをモットーにしています。
ストレスと美容の対策は、やはりお風呂。毎日毎晩、入浴剤「パラダイスバス」を入れたお湯につかっています。天天石鹸は顔も体も洗えます。
愛用の化粧品はもちろん『うるおい天国』のスキンケアシリーズです」

♡座右の銘   :ウサギを追うな。
♡彼氏、夫の有無:募集中です。

「スペースが小さくなってすみません、森若さん」
経理部に入ってきた広報課の皆瀬織子が、申し訳なさそうに言う。
ゲラ刷りの記事は大きかったが、今見ている記事は三分の一程度になっていました。

女性向けの求人情報誌のインタビューは、入浴剤開発研究室の鏡美月の予定だった。しかし、研究室は都心から少し離れた場所にあり、天候が荒れて飛行機が飛ばず間に合わないので、代わりにインタビューを受けて欲しいと美月から沙名子に電話があったのは昨夜のこと。

「写真があった方が良かったですね。他社は顔も名前もオープンの人ばかり。美月ちゃんは顔出ししてもいいと言ってたし」皆瀬織子は残念そうだった。

「わたしは、写真を載せたくないんです」
「いえ、森若さんお奇麗ですよ。メイクも髪もナチュラルだし。うるおい天国(入浴剤)使ってますって感じ。だから撮ってもらったの。会社の宣伝にもなるし、何だか悔しいな」いかにも残念そうな皆瀬織子。

しかし、森若沙名子は取材や会社の宣伝などに興味はありませんが、鏡美月には、パラカフェの件で借りがあった。少し前の休日に、遠距離にあるパラカフェまで入浴剤を届けてもらったから。

記事の内容は、半分は沙名子の言葉ではないので不満は残っているけれど、美月への借りが返せたかなと思うと、すっきりした気分になっていた。

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定番の待ち合わせ場所は2駅先ドトール!沙名子と太陽3回目のデート!

「ドトール」のテーブルに、カウンターで受け取ったばかりのハーブティーを置いた時だった。
入口にスーツ姿の山田太陽が駆け込んでくるのが見えた。「沙名子さーん!」と名前を呼びながら・・・

ここは会社から2駅離れた「ドトール」。特に好きな場所と言うわけではないけれど、最初の待ち合わせ場所だったので、何となくいつもここで待ち合わせている。

山田太陽と2人で会うのはこれで3回目だった。
週末の夕方6時半、もう、外は薄暗くなり始めている。

太陽と1回目にあった時はお茶と食事。
2回目は何故か、食事の後でデパートの屋上へ行った。
山田太陽は「車を買おうかな・・・」とつぶやいていたが、沙名子には「買いたいのなら買えば」くらいしか言えない。

3回目の今夜も、どこかで食事をすることになるだろう・・・と沙名子は思っている。
「早いのね、山田さん。もっとかかると思ってた」
「そのさー、山田さんて言うの、やめない?太陽でいいから。せめて太陽さんとか」

「ちょっと寒いよね。出ようか?」沙名子の言葉に
「ああ、いいよ。でも、来たばかりだろ。俺も何か買ってくるから、ゆっくり飲んでていいよ」と。

とにかく太陽は優しい。沙名子は、男って、もう少し強引なのかなと思っていたが太陽は違う。今現在の2人の関係は「友達」だろうと思う。

最初、会社の人とは友達にならない主義だと沙名子が伝えた時、
「沙名子さんの考え方はわかっている。だけど、俺はそうじゃない」と太陽は言った。

「彼氏にどうですか?!いやいやいや、無理は言いませんから!まずはお茶から。お茶とご飯と映画から。沙名子さん映画好きでしょう?だから休日に映画見て、その後水族館とか行って・・・夜景見ながらカクテルとか飲んで!いろんなイルミネーションとか見て!そしたら彼氏みたいじゃないですか!」

営業部の社員だからお喋りである。色々な話も本気なのかネタなのか・・・太陽がプライベートでも、駆け引きのような会話をしていたら2回目はなかったと沙名子は思う。

最初、映画は一人で観たいと沙名子が言ったら、太陽は一瞬 黙っていたが、真剣な顔でこう言ったのだ。

「俺、多分沙名子さんのこと好きだから、友達でいいので、たまに食事しませんか」と。
入社以来5年半もの間「森若さん」と呼ばれていたので、「沙名子さん」と名前で呼ばれると変な感じだ。

太陽は生クリームたっぷりのアイスコーヒーと、バウンドケーキの載ったトレイを持ち、沙名子の前に座る。
「夕ご飯、食べに行くんじゃないの?」
「行くよ!ちょっと遠いから消化する」

「どこに行くの?」
「内緒」
「内緒はやめて。予定が立たないのは落ち着かないの」
「いけね、そうだった。日比谷にある公園なんだけど、期間限定で屋外のフルーツガーデンやってて、結構面白いって聞いたから」

「フルーツカレーとかパスタもあるらしいから、そこで食べてもいいし、それとも、近くで何か食べてから行ってもいいよ」と太陽。

沙名子はハーブティを飲みながら考えていた。
日比谷の公園・・・少し遠いな・・・と言うことは、帰りはタクシーになるかも知れない。
できれば地下鉄で帰りたいんだけど・・・と。

先々週はずいぶん遅くなってしまい、太陽が送ると言ってきかないので、1人でタクシーを拾ったのだ。
まだ、太陽に1人暮らしのマンションを知られるのは抵抗があったから。

森若沙名子は、太陽に対してどこまで緊張を解くべきなのか、どこまで話をしていいのか、迷っていた。自宅に送ると言った時「深い意味はないよ」と何度も言った太陽の言葉を思い出していた。

「とりあえず行きましょうか」
「カップ返して来る」
太陽は自分のトレイを返却すると、手間取っている年配の夫婦を見てさりげなく手伝っている。

先輩鎌本から帰社しろメール!来週のデートを約束したら沙名子をギュッと抱きしめた太陽!

外に出た二人は肩を並べて歩く。座っている時はあまり感じないけれど、肩を並べて歩いていると、太陽は大きくてがっしりしている。

「沙名子さんて、アボカドとか好きでしょう?」
「そうでもないわ。嫌いじゃないけどあまり使わないわ」
「ええっ、休日とかには、アボカドサラダとか食べてると思ってたっ!」
「そのメニューは何処から出てきたの?」

「好きそうだと思ったんだよな」
「太陽さんはどんな果物が好き?」
「俺、バナナにチョコレートやキャラメルかけたやつ、すっげえ好き。ピンクのチョコとかかかったの、見る度に食いてえと思うんだけど、抵抗があって買えないんだよな」

他愛のない話をしながら歩いていたら、一駅歩こうかと太陽が言う。
「歩ける?ちょっと話したいし。沙名子さん、俺さあ・・・なんか最近、凄く・・・」
と言いながら、急に改まった顔になった。その時、太陽のビジネスバックの中でスマホが鳴った。
「うわあ、鎌本さんだ、社に戻れって・・・」太陽は絶望的な顔をしている。

「入浴剤の仕込みはもっと後だし、何もないはずなんだけどな。俺、鎌本さんに、いいように使われてんのかなあ。くそお、会社戻りたくないな。人ごみの中でイチャイチャしようと思ってたのに!」
「イチャイチャはよけいです」
「願望くらい言ってもいいじゃん。まーいいわ。またメールするよ」

”一駅くらい歩いてから社に戻ればいいんじゃないの”と、言おうとしたら、太陽はもう、鎌本に返信していた。
「ごめんね沙名子さん。予定変えちゃって。そういうの嫌いなんだよね」
「気にしなくていいよ、わたしのことは」

「いつもそう言うけどさ・・・俺、楽しみにしてたんだよな!」
「じゃあ、来週行く?フルーツガーデン」
「えっ、いいの!来週は奇数週だけど?」

沙名子と太陽が合うのは、偶数週の週末に決めていたので、来週はイレギュラーになる。
「わたしも行ってみたくなっちゃった」
「やった!」

大喜びの太陽は、いきなり沙名子をギュッと抱きしめた。
「あはは、良かったあ。じゃあ、仕事頑張るわ。ばばーい」
言うが早いか、抱きしめていた手をほどき、スマホを片手に手を振りながら、改札口に消えて行く。

沙名子は心の中でつぶやく。
『ばばーいってのは、昭和かよ。てか、さっきの抱擁に対する言い訳はナシなのか。社内でやったらセクハラだぞ。社内じゃないけど、ネクタイが鼻に押し付けられて、汗臭かったぞ。ちゃんとワイシャツ洗ってんだろうな。ファンデーションがついたかも知れないぞ!』

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沙名子は夕食の予定が飛んだことで、食べてから帰るか、何かを買って帰るか決めなくてはならない。
土曜日なのに、借りているDVDが1本もなけど、読みかけの本を読んでしまうかな・・・
沙名子は「参ったな・・」と思った。

沙名子さん・・・と、初めて名前で呼ぶ男は、スーツを着たまま馬鹿なジョークを飛ばす1才年下の営業マン。太陽の出現によって考えることが増えたし、平穏な日常のスケジュールを、頻繁に組み替えなくてはならない事態になっている。

1人暮らしを始めてから1年、きちんと守ってきたルーティンが狂い始めていた。ところが沙名子は、これはこれでいいと思っていて、特に気にしている様子はない。

まとめ

森若沙名子は、誰からも一目置かれる優秀な経理部員ですが、恋に関しては奥手と言うか・・・臆病。そんな沙名子に恋した山田太陽は、ようやく沙名子とデートの約束をするまでこぎつけた!

3回目のデートの途中、先輩の鎌本から帰社しろメールが入り、がっくりする太陽。
フルーツガーデンで食事をするか、行く前に近くで食べようと話していたが、全てが消えてしまった。

沙名子と太陽は、偶数週・・・の週末に会うと言うルールを決めていた。今夜が駄目になったら2週間はデート出来ない。だから、鎌本からの帰社しろメールを見て、太陽は絶望的な顔をしたのだ。

「じゃあ、来週行く?フルーツガーデン」沙名子の言葉を聞いた太陽は大喜び!
「やった!」と叫んで、いきなりギュッと沙名子を抱きしめた。

「あはは、良かったあ!じゃあ、仕事頑張るわ。ばばーい」という声を残し、太陽はあっという間に改札口に消えていった。

沙名子の心の中で、太陽の存在が段々大きくなっている。
太陽の出現によって考えることがどんどん増え、日常のスケジュールも、頻繁に組み替えなくてはならない事態になっているのだけれど、それが当たり前のような感覚になっている。

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